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ユリリエを中心とした二次創作の小説「舞踏会は終わらない3」

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MAIN CAST&SITUATOPN
ユリリエ / 憎悪Bにて、ユリリエに憧れつつ嫉妬した主人公が彼女と闘うお話

舞踏会は終わらない3

舞踏会に向かう途中でリリアノの一団に出会う。
「おや、レハトではないか。ふふ、何度見てもそなたの変貌ぶりには驚かされるな。いや、もちろんいい意味でだぞ。」
リリアノは穏やかに微笑みながら私の姿を頭の先からつま先まで見まわす。
「それが今日の戦闘服というわけか。その美貌はこの先、そなたの武器であろうからな、存分に使いこなすがいい。今日の舞踏会でどのように振る舞うのか期待しているぞ。」
私の額と胸元にチラリと視線を置いてからそう言うと、リリアノは取り巻きの人々を引き連れ、颯爽と去って行く。

リリアノの視線を感じ、私は自分の思惑が上手くいく事に自信を持つことができた。

印と胸元の紅玉のネックレス。
今日の私のコーディネートの目的は、この二つを舞踏会に参加する人々に印象づけようと考えたものだった。
まずは印。
前髪を作って印を隠すようなことはせず、真ん中から髪を左右に流し、額に輝く印が見えやすいような髪形を選んだ。
そして紅玉。
リリアノがこれに視線を落としたのは、もともとこれが王の宝器庫にあったものだったからだ。
あえて胸元を開けていて、上質な生地を使い、飾りも控えめなシンプルなデザインの深紅のドレスは、この紅玉が一番映えるように新たに仕立てたものだった。

今日の舞踏会では、私がしなければならないことがいくつかある。
印と紅玉、それと私の美貌は、そのことを成し遂げるのに重要な武器になるのだ。

リリアノとの邂逅を遠巻きに見ていた人々が私に話かけたそうな様子でいるのは分かっていたが、私は舞踏会の行われる大広間に向かっていくことにする。

私は心のどこかでわくわくしている。
彼女は美しい女性の姿になった私を見てどう思うだろう、
私が彼女の企みを上手くかわして見せたらどう感じるだろう、
彼女が、思いがけない私からの不意打ちに気づいたらどんな表情になるだろう。

これから始まるであろう彼女との闘いを思うと、不思議と憎しみや怒りよりも先に、胸が躍ってしまうのだ。

私はその胸の高鳴りを抑えきれず、自然と舞踏会が行われる大広間へと足が進んでしまう。
そして大広間の入り口にたどり着き、開け放たれた扉から中を見渡すと、
思わず笑みがこぼれてしまった。
すでにかなりの数の貴族や文官、神官たちが、舞踏会が始まるのを優雅に談笑しながら待っている。

一見すると、おだやかで平和な会話を楽しんでいる和やかな雰囲気だ。
しかしその笑顔の裏には、新たな王の元でいかに自分が他人より優位にたてるか、利を得ることができるか、他人を蹴落とすことができるかを考える人間たちの思惑で溢れ返っている。
そんな彼らを、彼女に出会うまでは馬鹿にして軽蔑していただろうが、今はいとおしくさえ感じる。
もはや私も彼らと同じ種類の人間なのだ。
だからこそ彼らと渡り合えるし、闘えるようになる。
そして言うまでもなく彼女も、私たちと同じ種類の人間だろう。


城で迎えた三回目の舞踏会は、それなりに上手くこなせるだろうと考えていた。
しかし、練習してきたのと違う曲調の音楽が流れてきたせいか、ダンスはあまり上手くいかず、挽回しようと色々な人たちと会話をするも、気持ちばかりが焦って上手く会話がかみ合わない。

意気消沈して端のほうで休んでいると、彼女の姿が目にとまった。
彼女は広間の中央でダンスをしていた。
相手は確か有力な上級貴族の子息だ。
彼女は完璧な微笑みを浮かべながら、優雅に踊っていた。
そのダンスは、他に踊っているどの人々よりも美しい動きだった。
時折、相手と言葉を交わしながら、しかしその足元は全く乱れる事なく華麗にステップを踏んでいた。
途中、演奏されている曲が変わり、曲調やリズムががらりと変わった時でさえ、
その完璧な微笑みを絶やさずに、とても自然で美しい流れで踊り続けた。

音楽が終わって、ダンスを終えた彼女は、息一つ乱れた様子もなく、美しい姿勢で一礼をし、そのまま相手を連れだって、談笑している一団に溶け込んでいった。
彼女は、どの相手と話している時も、余裕のある微笑みを見せながら、相手との会話を楽しんでいるようだった。この会場で彼女のいる辺りが、一番会話が盛り上がっている様子で、周りにいる人々も、皆、彼女に注目しているように見えた。

お開きの時間がくるまで、私は彼女から目が離せなかった。
途中ローニカに何度か退室しましょうかと声をかけられたが、そんな気にはならなかった。

あれは、私が城に連れられてきたときに思い描いた憧れの姿そのものだ。

どうしてあのように踊れるのか。
どうしてあのように振る舞えるのか
どうすればあのようになれるのか。

私は彼女の姿を見て絶望していた。
約三カ月、この城で貴族の作法や振る舞い方について学んできたはずだったが、彼女と比べると、その努力は無駄なものではなかったかと思わされた。
常に微笑みを浮かべ、余裕たっぷりの様子の彼女を見ていると、田舎者の私はどんなに努力しても、生粋の貴族にはなれないのだと、まるで私の事を嘲笑っているように感じられたのだった。

AUTHOR / 作者 joeさん

その3