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ユリリエを中心とした二次創作の小説「舞踏会は終わらない4」

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ユリリエ / 憎悪Bにて、ユリリエに憧れつつ嫉妬した主人公が彼女と闘うお話

舞踏会は終わらない4

私が大広間に足を踏み入れると、一斉に視線がこちらに集まったのを感じる。
あたりを軽く見まわすが、どうやらまだヴァイルはこの場に来ていないらしい。
その分、私は存分にここにいる人々の注目を集めている。

是非彼らに私の姿を見てほしい、額に輝く印と、磨きあげた美貌を見てほしい。
彼女に対抗するためには、私の存在を、彼らの中に存分に焼きつける必要があるのだ。

会場の人たちが私の姿を認めて、場内が色めきだつのを感じた。それは決して自惚れではないと思う。
リリアノはすでに壇上にいたので、私はリリアノの方へ向って歩く。
通り過ぎる人々の様子から、私の見た目に関する評判は良いらしい事が読み取れる。

こうして公の場に私が現れるのは、継承の儀以来だ。
継承の儀では間近に私の姿を見ることができたものも少ないはずだし、儀式用の地味な衣装を身につけていたので、女性として着飾った私を見たのは初めての者も多いかもしれない。
もちろん私の元へご機嫌伺いに来た者たちも多かった。
しかし私の元へ来た者たちとは、すなわち、私に近づこうとした者たちだ。
つまり私を手にしようと、または私を利用しようと考えている者たちだ。
そのような者たちには今のところ私を害そうとする理由はない。
大げさに言ってしまえば、今日の舞踏会では、そのような者たちに用は無いのだ。

私にとって今日重要なのは、私の元へ来なかった者たちだ。
彼女に何か吹き込まれているのは、彼らだからだ。

壇上に上がり、リリアノの側まで歩き、立ち止まって彼女に軽く一礼をしてから、新たな王の到着を待つため会場の入り口の方へ向きなおす。
彼がこの会場に着くとき、いよいよ舞踏会は幕を開ける。
そう、本格的に彼女との闘いが幕を開けるのだ。


三度目の舞踏会を終えてから数日の後、彼女からダンスの特訓の申し出を受けた。
それまでも、衣装の事や、恋愛の事などで彼女の話を聞く機会は何度かあった。
花のように朗らかに笑う彼女から聞く話はどれもおもしろかった。
まるで幼い頃、母から聞かせてもらった夢のようなおとぎ話を聞いているようだった。
そのような、いかにも貴族の少女が興味を持ちそうな華やかな話題を、ごく自然に話せる彼女を尊敬していた。
それと同時に、そのような話題が話される度に、お前のような田舎者とは違うのだと言われているような気持ちになり、一人密かに彼女に対する劣等感を膨らませていたのだった。

たぶん、彼女に悪意はなかっただろう。
私にダンスの特訓を申し出たのも、私に恩を売ろうとする多少の打算はあったかもしれないが、それ以上に善意による申し出だったのだろうとわかってはいる。
けれども、それでも何でも上手くこなせる彼女が、きまぐれに私に情けをかけただけだと、私には感じられた。
貴族の少女が戯れに田舎者をからかって楽しんでいるだけなのだと、私は考えてしまうのだった。
私は内心悔しい思いで胸がいっぱいになりながらも、彼女に倣い、精一杯の笑顔で彼女の申し出を喜ぶふりをし、彼女とのダンスの特訓を行ったのだった。
ダンスの他にも、身だしなみについて、会話の仕方、振る舞い方など、彼女から学ぶことは多かった。
時には彼女が直接指導をしてくれ、時には私が彼女のしぐさを盗み見て覚え、そのひと月
で私は一気に貴族らしく振る舞えるようになったのだった。

こうして迎えた昨年の最後の舞踏会では、私はごく自然に貴族達と対等に会話できるようになっていた。どんな相手と話しても、なかなかいい雰囲気で会話ができるようになり、私は彼女との、このひと月の特訓の成果を実感することができた。

何人目かの貴族との会話を終えた頃、彼女との特訓に使った音楽が会場に流れてきた事に気付いた。
ダンスの特訓の成果を見せるにはこの曲しかないと私は考え、話しかけてきた文官にやんわり断りを入れ、ダンスの相手を探すため会場内を移動した。
ちょうど別の人とのダンスを終えた直後の背の高い紳士がいたので、こちらから声をかけ、お相手をしていただくことにした。

踊り始めてから間もなく、私は確かな手ごたえを感じた。できる、上手くやれる、そう確信していた。相手の動きも正確で、音楽も慣れたものだったので、練習通りにできる自信を強くもった。
その時、私は音楽にあわせて踊っている訳ではなかった。
私の動きに音楽がついてくるかのようだった。
実際、そうだったのかもしれない。
大広間にいる人々のほとんど全てが、私と相手の踊りを見ていたのだから。
終わった途端、自然に拍手が湧き起こる。
人々は私をあっという間に囲み、口々に賛辞を述べてきた。

私はやったのだ。私の事を田舎者と馬鹿にしてきた彼らを見返すことができたと思った。
私を取り囲んだ人々の顔を見て、私は満足していた。
つい先日まで馬鹿にしていた相手をそのように手放しに絶賛するとはなんという阿呆な連中なのだろう、私だってその気になればこれくらいできるのだ、この程度のダンスでここまで褒めちぎるとはなんて愚かな者たちなのだろう。
私は彼らを見ながら優越感にひたることができたのだった。

AUTHOR / 作者 joeさん

その4