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タナッセを中心とした二次創作の小説「夢とかぜ①」

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タナッセ / 愛情Bルートお引越し前

夢とかぜ①

 浅い眠りの中、私は故郷の夢を見ていた。
 懐かしい風景。農作業を手伝いながら眺めていた野山。

 ふいに甘く爽やかな香りがした―――母さんに、抱きすくめられたのだ。
 幼い私の額に手をあてて彼女は呟く、お熱があるみたいね、と。
 母さんに抱えられて帰る道すがら、私はただぼんやりと空を見上げていた。

 突然、灰色だった空が、澄んだ水色に変わったように見えて。
 その眩しさに、母さんの首元へ顔を埋める。
 するとまた、あの、甘い匂い。

 ベッドの上、瞼を開くと、また水色が広がっていた。
 この水色から匂いがするのだ。
 石鹸かなにかの香りだろうか。 嗅ぐと少し切なくなるような…そしてどこか懐かしく感じる匂い。
 もっと嗅ぎたい。私は深く息を吸い込んだ。
 呼吸と共に鼻先を何かがくすぐる。チクチクする。
「ぶあっしゅ!!」
 自分のくしゃみで覚醒した。
「…うっ…おい!」
 驚きで上ずった声。目の前にタナッセの顔がある。いつものように眉間にシワを寄せた不機嫌な表情で、何やら自身の顔を両手でこすっている。
「貴様…人の顔にっ…」
 憤慨した様子で水色の髪をかきあげて―――ああ、空じゃなくて、タナッセの髪の毛だったのだ、チクチクと刺さったのは。

 肌着姿の彼は相変わらず私のベッドに横になったまま。いったい、いつから居たのだろう。
「あの…タナッセ、なんでいるの?」
 私も横になったままで、聞いてみた。
「見舞いに来てやったんだろうが。お前が風邪をひいたというから。
何か不満か?」
 タナッセが唇を尖らせて私を見つめる。
「不満というか…それはどうも…ありがとう」
「気にするな」
 熱で火照った私の頬を、冷たい指が撫でてくる。気持ちがいい。私も手を伸ばして彼の頬を伝い、髪を撫でた。
「でも、うつっちゃうんじゃないかな…風邪」
 やんわりと注意を促してみる。
 でも彼は動じない。
「構わん。どうせ、お前の体調が良くならなければ城を発つことは出来ないし…もういっそのこと、私も風邪をひいたという事にした。だからうつってもいい」

 病人は病人同士ひとまとめに『させておいてくれ』と周りには言ってある、とタナッセは得意そうだ。子供っぽくてなんだか呆れる、でも嬉しい。

AUTHOR / 作者 うにグラノラさん

読んでくれてありがとうございます!
不動の風邪ネタ失礼します。
次回特に展開はありませんが続きます。