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ユリリエを中心とした二次創作の小説「舞踏会は終わらない2」

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MAIN CAST&SITUATOPN
ユリリエ / 憎悪Bにて、ユリリエに憧れつつ嫉妬した主人公が彼女と闘うお話

舞踏会は終わらない2

「レハト様、そろそろお時間でございます。」
新しく部屋付きになったばかりの侍従が声をかける。

ぼんやりと昔の事を思い返していた私は気を取り直し、
身支度の仕上げとして美しく輝く紅玉のネックレスを身につける。
このネックレスを映えさせるため、あえて胸元が空いたドレスを選んでいた。

実際につけてみると、
光沢のあるドレスの深紅と
鮮やかな唇の赤、
そして紅玉の深い輝きが上手く調和していると思う。

今日は私とヴァイルの篭りが開けてから初めての舞踏会だ。
国中の貴族達が新たな王と、新しく爵位を与えられた継承者のことを見に集まってくるだろう。

新たな王にはヴァイルが選ばれた。
継承の儀にて、私は継承権を放棄し、その代わりのように伯爵位が与えられた。
伯爵位。
公爵位、侯爵位に比べれば劣るものの、貴族としてそれなりの存在感を持つ位だ。
私は伯爵位という地位に満足していた、彼女と同じ舞台で戦えるのだから。

舞踏会に向かうため部屋を出ると、扉の脇には護衛の衛士が立っており、
廊下へ歩みを進めていくとその衛士も自然に私の後をついてくる。

去年までは、こうして移動するとき、私についてくるのはローニカ1人だけだったが、
篭りを終えて爵位が与えられてからは、こうして護衛がつくようになり、
更にローニカの他にも侍従が1人ついてくるようになった。

「やはりこのように御供の者が増えますと気になりますか」
振り返りつつ彼らの姿を見廻していると、ローニカが優しく声をかけてくる。
まだ慣れなくて落ち着かないのだ、そう正直に話すとローニカは微笑みながら答える。
「左様でございましょうね、去年までは私一人でございましたし。ですが、貴方様は爵位を与えられ、名実ともに貴族の一員となられました。窮屈に感じられるかもしれませんが、
ご容赦ください。じき慣れてしまわれますよ。」
わかっている、すぐ慣れるだろうと答え、前を向いて再び歩みを進める。
もう私は子供ではないのだ、このように供をつれて歩くことの意味もわかっている。
爵位や身分いうものは目に見えるものではない。供を引き連れて歩いたり、高価なものを見に付けたりすることで、他人にその地位を見せつける意味も大きいのだと私は理解していた。

貴族とはそういうものだと、私は彼女に教わった。
そして彼女の言葉は今の私の礎になっている。

大広間へ続く廊下で、私は何人かの貴族達とすれ違う。
私は彼らに完璧な微笑みと目礼をしながら通り過ぎる。
明らかに私に見とれるもの、連れとひそひそ話を始めるもの、
あからさまにエスコートをさせてくれと申し出るもの、様々だったが、
今日のコーディネートは彼らの目に十分魅力的に映ったのだと、その反応から確信を持った。

継承の儀を終えてから、私の部屋には毎日何人もの貴族達が訪れた。
私が、篭りを終えて益々美しくなったという評判が評判を呼んでいるらしく、
継承印を狙う事に加えて、私の美しさに目をくらませご機嫌伺いに群がる人たちは後を絶えなかった。

けれど、もちろんその中に彼女の姿はなかった。
彼女が舞踏会に参加しないはずはないので、女性として生まれ変わった私は、今日初めて彼女と顔を合わせることになるのだ。


彼女に初めて会ったのは、二回目の舞踏会を終えて数日後の中日のことだった。
「はじめまして、候補者様。私のこと、ひょっとしてご存知かしら?
たぶんご存知ではないと思いますけれど。今までお話しさせていただいたこと、ございませんから。」
金色のウエーブのかかった長い髪とピンク色のドレスという外見は、まさに貴族の少女という美しいものだった。話し方も柔らかく、立ち居振る舞いも完璧に洗練された貴族のものであった。
そこにヴァイルがたまたま通りかかり彼女と会話のやりとりをする。
どうも知り合いらしい。
じゃ、レハト、頑張れ。ばいばい。そういってヴァイルは去っていく。
改めて目の前の女性をみやると、彼女はにこりと笑ってみせた。
「邪魔が入りましたわね。私、ユリリエ・ヨアマキス=サナンです。」
それから彼女は自己紹介を始める。
私は、彼女の笑顔の完璧さ、言葉遣いの優雅さ、洗練された身のこなしに目を奪われた。

それと同時に自分がひどく惨めに思えた。
二回目の舞踏会はそれなりに上手くこなしたと思っていたので、多少なりとも、自分も貴族達の仲間入りができたように思いあがっていた。
けれど、目の前の女性のあまりに自然な貴族然とした振る舞いと比べると、私の振る舞いや身だしなみは、所詮付け焼刃のものでしかないと思い知らされるのだった。

「以後お見知りおきを、レハト様」
そういって彼女はとても自然に一礼してみせ、私の横を通り過ぎていくのだった。

その一連の動作は、まるで川に水が流れるように自然な動きで、今の私がどうあがいても真似できないものだと思った。

ひと月懸命に勉強や練習をしても、私にはできないことを、彼女はいとも簡単に、何でもないことのように、ごく当たり前にやってのけた。
その姿を見て、あのようになりたいと憧れるとともに、易々と貴族の少女として振る舞えるその事に私は嫉妬を感じたのであった。

AUTHOR / 作者 joeさん

その2